スペシャリティコーヒーから学んだ持続可能な社会
先日、行きつけのカフェが自家焙煎機を導入しました。
そのカフェのウェブサイトを私が業務委託で制作・管理しているのがきっかけで、焙煎機の設置・焙煎トレーニング・カスタマーセミナーを取材させてもらいました。
そこで知ったのは、今までとくに気にせず飲んでいたコーヒーにどれだけ人の手がかかっているのか?ということ。
一杯のコーヒーには、壮大なドラマがありました。
東アフリカのエチオピアには、アラカという農園があります。
そこでは高品質な、「スペシャルティコーヒー」と評価されたコーヒー豆が収穫されます。
収穫後は手作業で乾燥したコーヒーチェリー(実の部分)を剥いたり、洗い落とし乾燥させて生豆の状態にします。
その後、機械を使わずハンドピックで選別して品質をそろえるそうです。
アラカ農園を管理するのは、METAD(メタッド)という会社。
METAD社には浅野さんという方がいらっしゃり、「コーヒーのために!」とエチオピアに移住し、現地で生産現場に携わる&アラカのコーヒー豆の市場開拓をなさっているそうです。
アラカからさまざまな道のりを経て日本へ輸入され、そこから青森県のコーヒーカラーズというお店にたどり着きます。
コーヒーカラーズのオーナー木村さんは、スペシャルティコーヒー生豆の卸販売をなさっています。
北海道・東北のインディーズロースターさんたちとイベントを行ったり、自家焙煎の指導も行っていらっしゃいます。
「スペシャルティコーヒーをスタンダードに、いいものをスタンダードに」とおっしゃる木村さん。
コーヒーのあのよい香りの正体は二酸化炭素だ、という豆知識から、コーヒーをめぐる世界情勢まで。
コーヒーへの熱意や愛情、仕事に対する信念を語る木村さんの輝く瞳は、今でも印象に残っています。
そして生豆がいつものカフェに届き、ていねいに焙煎され、最後に一杯のコーヒーとなり私のもとへ提供されました。
一杯のコーヒーになるまでに関わったすべての人が、このスペシャルティコーヒーを守り、発展させていく。
そしてこの一杯を味わう私も、社会を持続させるための一員なんだ…と胸が熱くなりました。
新型コロナウイルスの影響でさまざまな業界が打撃を受け、終わりが見えない世の中に誰もが息苦しさを感じる日々。
それでも逆境に負けず、懸命に働く方々がいることに励まされました。
私にできることは、たかが知れています。
しかし、こうして見聞きしたことを綴り、ひとりでも多くの方に伝えることで社会を持続させるためのお手伝いができたら…と思っています。
昭和末期生まれ、世間一般とは一味違う経験を積み重ねる。
環境が目まぐるしく変化し、まるで旅するように暮らした時期もあった。
しかし、ようやく自然豊かな土地でおだやかな日常を過ごしている。
ただ生活しているだけなのに、ここまでドラマティックな人生は他にはないのでは?と思えるくらい、数々の思い出がある。
スペシャリティコーヒーから学んだ持続可能な社会