初めてのバイオリン。

私がバイオリンを始めたのは24歳のとき。大人になってから始めた習い事だ。

幼い頃からクラシック音楽が大好きだった私は、いつしか自分でも楽器を奏でてみたいと思うようになった。ピアノを習ってみたいと思ってはいたが、少々厳しい家だったこともあり、両親には言い出せずにいた。

習い事ができないなら、吹奏楽部に入りたい!そう思っていたのだが、部活で帰宅が遅くなり、勉強ができなくなるという理由で親に反対され、憧れていた吹奏楽部への入部は叶わなかった。

社会人になってしばらくした頃、ふと子供のときに楽器に憧れていたことを思い出した。働き出した今なら、誰の目を気にすることもなく、自分のお金で習い事をすることができるではないか。そう気付いた私は、楽器を習ってみたいという幼き日の自分の夢を叶えることにした。


そのときに私が選んだ楽器が、バイオリンだった。学校の授業以外で初めて手にした、私だけの楽器。「勉強で忙しいから」「親が厳しいから」「お金がないから」。そんな理由で諦めていた夢を、とうとう自分の手で叶えることができたのだ。

買ったばかりのバイオリンケースを背負って、地下鉄に乗ったときのことは、今でも鮮明に覚えている。初めてランドセルを背負ったときのような、誇らしいような照れ臭いような気持ちになった。あのときの嬉しかった気持ちは、今でも忘れられない。

この日から、私のバイオリン修行が始まった。

仕事終わりに片道40分かけて、レッスンに通った。自宅では、指の動きや譜読みの練習も欠かせない。仕事に疲れていて、大変なこともあるけれど、楽しくて充実した時間だ。

楽譜を読みながら、左手で指板を抑え、右手で弓を弾く。感覚を研ぎ澄ませて、音と指先に集中する時間は、心地よい緊張感に包まれる。バイオリンに集中していると、心が癒され、頭がクリアになっていく。全身の細胞が喜んでいるようで、あぁ私はやっぱり音楽が好きなんだなぁと、改めて感じることができるのだ。
仕事に追われる、代わり映えのない毎日に、バイオリンは彩りを与えてくれた。あの時バイオリンを始める決断をして、本当によかったと思う。

引っ越しを機に、レッスンはやめてしまったけれど、今でもバイオリンは私の大切な相棒だ。


そんな私も、バイオリンをやってみたいと思ったとき、相当に悩んだ。

仕事で忙しいのに、練習なんてできるのか。
高額な楽器を買って、続けることができるのか。
難しい楽器を楽しむことができるのか。

何ヶ月も悩んだ。諦めようかなと思ったことも何度もあった。

けれども、悩んでいる時点で、やってみたいと思っているということなのだ。
そう気付いたから、バイオリンを始める決心ができた。

人は大人になっていくにつれて、言い訳が上手になっていく。
お金がかかるとか、仕事で時間がないとか、いくらでも言い訳をすることはできる。

でも自分の夢を叶えてあげられるのは、自分だけなのだ。
高額な楽器を購入するのは、とても勇気のいることだったし、大人になってからの新しい挑戦はドキドキするものだ。
でも、自分の意志で自分のやりたかったことに挑戦できるというのは大人の特権なのかもしれない。

「もう大人だから」と諦めるのではなく、「大人になったからできるんだ」という気持ちで、これからも新しいことに挑戦していきたい。

主婦
投稿時の年齢:31
福岡
投稿日時:2022年03月13日
ドラマの時期:
2015年
10月
--日
文字数:1430

筆者紹介

はじめまして。学問や芸術、海外旅行が大好きな、好奇心旺盛な主婦です。
たくさんのことを学んで、たくさんの人と出会って、楽しく生きていきたいです!
よろしくお願いします。

初めてのバイオリン。

私がバイオリンを始めたのは24歳のとき。大人になってから始めた習い事だ。

幼い頃からクラシック音楽が大好きだった私は、いつしか自分でも楽器を奏でてみたいと思うようになった。ピアノを習ってみたいと思ってはいたが、少々厳しい家だったこともあり、両親には言い出せずにいた。

習い事ができないなら、吹奏楽部に入りたい!そう思っていたのだが、部活で帰宅が遅くなり、勉強ができなくなるという理由で親に反対され、憧れていた吹奏楽部への入部は叶わなかった。

社会人になってしばらくした頃、ふと子供のときに楽器に憧れていたことを思い出した。働き出した今なら、誰の目を気にすることもなく、自分のお金で習い事をすることができるではないか。そう気付いた私は、楽器を習ってみたいという幼き日の自分の夢を叶えることにした。

そのときに私が選んだ楽器が、バイオリンだった。学校の授業以外で初めて手にした、私だけの楽器。「勉強で忙しいから」「親が厳しいから」「お金がないから」。そんな理由で諦めていた夢を、とうとう自分の手で叶えることができたのだ。

買ったばかりのバイオリンケースを背負って、地下鉄に乗ったときのことは、今でも鮮明に覚えている。初めてランドセルを背負ったときのような、誇らしいような照れ臭いような気持ちになった。あのときの嬉しかった気持ちは、今でも忘れられない。

この日から、私のバイオリン修行が始まった。

仕事終わりに片道40分かけて、レッスンに通った。自宅では、指の動きや譜読みの練習も欠かせない。仕事に疲れていて、大変なこともあるけれど、楽しくて充実した時間だ。

楽譜を読みながら、左手で指板を抑え、右手で弓を弾く。感覚を研ぎ澄ませて、音と指先に集中する時間は、心地よい緊張感に包まれる。バイオリンに集中していると、心が癒され、頭がクリアになっていく。全身の細胞が喜んでいるようで、あぁ私はやっぱり音楽が好きなんだなぁと、改めて感じることができるのだ。
仕事に追われる、代わり映えのない毎日に、バイオリンは彩りを与えてくれた。あの時バイオリンを始める決断をして、本当によかったと思う。

引っ越しを機に、レッスンはやめてしまったけれど、今でもバイオリンは私の大切な相棒だ。

そんな私も、バイオリンをやってみたいと思ったとき、相当に悩んだ。

仕事で忙しいのに、練習なんてできるのか。
高額な楽器を買って、続けることができるのか。
難しい楽器を楽しむことができるのか。

何ヶ月も悩んだ。諦めようかなと思ったことも何度もあった。

けれども、悩んでいる時点で、やってみたいと思っているということなのだ。
そう気付いたから、バイオリンを始める決心ができた。

人は大人になっていくにつれて、言い訳が上手になっていく。
お金がかかるとか、仕事で時間がないとか、いくらでも言い訳をすることはできる。

でも自分の夢を叶えてあげられるのは、自分だけなのだ。
高額な楽器を購入するのは、とても勇気のいることだったし、大人になってからの新しい挑戦はドキドキするものだ。
でも、自分の意志で自分のやりたかったことに挑戦できるというのは大人の特権なのかもしれない。

「もう大人だから」と諦めるのではなく、「大人になったからできるんだ」という気持ちで、これからも新しいことに挑戦していきたい。
主婦
投稿時の年齢:31
福岡
投稿日時:
2022年03月13日
ドラマの時期:
2015年
10月
--日
文字数:1430

筆者紹介

はじめまして。学問や芸術、海外旅行が大好きな、好奇心旺盛な主婦です。
たくさんのことを学んで、たくさんの人と出会って、楽しく生きていきたいです!
よろしくお願いします。