優秀な兄との関係
私は兄と二人兄弟。兄は4つ上です。
中学生までの私の人生は、兄と比較される人生でした。
兄は超がつく天才。しかもスポーツも万能。
私は全てが平均、という絵に描いたような引き立て役でした。
小学校も中学校も、私は名前で呼ばれることよりも「〇〇の弟」と言われることが多く、「〇〇の弟なのに」というフレーズを聞くことに慣れてしまう。そんな環境でした。
自慢の兄ではありましたがそういう環境もあって素直になれず、優しくしてくれる兄が嫌いでした。そんな中、私と兄の関係が大きく変わる出来事がありました。
それは、私が高校に入学したタイミングです。
兄は超進学校。私は中くらいの高校に進学しましたが、「〇〇の弟」というキャッチフレーズから解放された私はとても嬉しく感じていたのを覚えています。そんな中、高校の制度を利用しオーストラリアへ交換留学に行きました。
オーストラリアでは語学学習がメインでしたが、どちらかというと文化の違いを知ることが目的となっていました。当時はまだ観光できたエアーズロックを観光したりする中、一人のイスラム人高校生と仲良くなりました。この人は日本語が少し話せるので、すぐに意気投合。留学期間中、一緒に行動することが多く色々なことを教えてもらいました。
そのイスラム人が、私の兄への考え方を変えてくれました。
キッカケは、その人のイスラム教に関する考え方を知った時です。
イスラム教にはラマダンという、断食の期間があります。後から知ったことですが、断食といっても絶食といういうわけではなく質素な暮らしを心掛けなさいというイメージが近いようです。この期間中に、このイスラム人高校生はバクバクとカレーを食べていたのです。
「今食べていいの?断食は?」
当然の質問を私はしましたが、イスラム人高校生はカレーを食べながらこう返しました。
「イスラム教の考え方は『生き方のベース』みたいなもの。ブレない軸だから断食を守るとか守らないとかはあまり重要じゃない」
今思うと、ただカレーを食べたかっただけのような気もしましたが、当時兄の悩みが解放されたばかりの私には、兄への考え方が変わるキッカケになりました。
よく思い出してみると、兄は私に厳しくしていたわけではなく、どちらかというと優しくしてくれていました。たしかに「〇〇の弟」と呼ばれアイデンティティを持てなかった少年期でしたが、兄は弟である私をちゃんと認めてくれていたような気がします。
イスラム人高校生の話を聞いて、周りの意見よりも自分がどんな風に立っていたいのかという事に気づく事ができました。そして、自分の軸がないと周りの影響を受けてしまう。この経験から周りの評価を気にする生き方になってしまうことを知る事ができました。
その後、少しずつ兄との関係は改善され(とはいっても兄からすると元々悪かったわけではないと思いますが)、今では年に数度、家族で食事をする関係になっています。
色々なものに興味があり、取組みたいと思う性格です。
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