不器用なおばあちゃんの優しさ

私には、生まれた時から一緒に住んでいるおばあちゃんがいた。父方の母親にあたる人だ。おばあちゃんは、エネルギーに満ち溢れているタイプだった。70歳にして、旅行に行くのが趣味。しかもヨーロッパなどではなく、ペルーやエジプトなどなかなか旅行先に選ばないようなところに行くのが好きだった。料理も手芸も上手で、美味しいもの好き。年齢の割にジャンキーなものが好きで、たこ焼きやカップラーメンをよく買ってきていた。

私はそんなおばあちゃんが大好きだった。私には姉がいるのだが、姉は習い事をたくさんしていた。そのため、いつも家に居るのは私とおばあちゃん。2人でお留守番をしてアニメを見たり、ごろごろしたりしていた。お母さんに内緒で、美味しいものをこっそりもらえるのもとても嬉しかった。


そんな私も中学生になった。中学生くらいになると反抗期を迎える。一般的には親に反抗するようになるが、私の両親は厳しかったので到底できない。そのため、一緒に住んでいるおばあちゃんに反抗するようになった。今考えれば、心の底から甘えることのできる唯一の存在だったのだろう。反抗しても許されると思っているから、反抗できたのだなと思う。
今まで話していたのに私がいきなり無視するようになったり、おばあちゃんが共有スペースに居ると避けるようになった。今考えれば、最悪の行為である。(おばあちゃん、本当にごめんね。)

そんな私に対して、どう接すればいいのか分からなかったのだろう。エネルギッシュな性格だが、その反面繊細な部分もあるおばあちゃん。そのうち、話しかけてこなくなった。


そしていつの間にか、私が好きな食べ物を共有スペースに置いてくれるようになった。成長期の、食欲が止まらない年頃だった私。反抗したい気持ちはありながらも、おばあちゃんが買ってきてくれたものを食べるようになった。

徐々に私も、「おばあちゃんと話したいけど、今更話せない。」という気持ちになっていった。そこで区切りとして、「大学に合格したら話そう。」と考えた。おばあちゃんは誰よりも、受験を応援してくれていたのだ。

しかしおばあちゃんは、私が受験をする年に天国に行ってしまった。おばあちゃんにありがとうの感謝の気持ちを伝えられなかったことは、ずっとずっと後悔している。

私はおばあちゃんの不器用な優しさによって、無事思春期を乗り越えられたと思っている。
おばあちゃんが居てくれて、本当によかった。
私が天国に行った時は、まずおばあちゃんに謝ろうと思っている。

サービス職業従事者
投稿時の年齢:25
東京
投稿日時:2022年09月26日
ドラマの時期:
2011年
--月
--日
文字数:1062

筆者紹介

東京都在住の25歳女性です。教育熱心な親の下で育ちました。上へ上へという思考で高校・大学と進み社会に出ましたが、体を壊したことをきっかけに自分の価値観を見直すようになりました。今では「無理をしない・楽しく生きる」をモットーに、カフェでのんびり働いています。
趣味は愛犬の世話・サイクリングです。

不器用なおばあちゃんの優しさ

私には、生まれた時から一緒に住んでいるおばあちゃんがいた。父方の母親にあたる人だ。おばあちゃんは、エネルギーに満ち溢れているタイプだった。70歳にして、旅行に行くのが趣味。しかもヨーロッパなどではなく、ペルーやエジプトなどなかなか旅行先に選ばないようなところに行くのが好きだった。料理も手芸も上手で、美味しいもの好き。年齢の割にジャンキーなものが好きで、たこ焼きやカップラーメンをよく買ってきていた。

私はそんなおばあちゃんが大好きだった。私には姉がいるのだが、姉は習い事をたくさんしていた。そのため、いつも家に居るのは私とおばあちゃん。2人でお留守番をしてアニメを見たり、ごろごろしたりしていた。お母さんに内緒で、美味しいものをこっそりもらえるのもとても嬉しかった。

そんな私も中学生になった。中学生くらいになると反抗期を迎える。一般的には親に反抗するようになるが、私の両親は厳しかったので到底できない。そのため、一緒に住んでいるおばあちゃんに反抗するようになった。今考えれば、心の底から甘えることのできる唯一の存在だったのだろう。反抗しても許されると思っているから、反抗できたのだなと思う。
今まで話していたのに私がいきなり無視するようになったり、おばあちゃんが共有スペースに居ると避けるようになった。今考えれば、最悪の行為である。(おばあちゃん、本当にごめんね。)

そんな私に対して、どう接すればいいのか分からなかったのだろう。エネルギッシュな性格だが、その反面繊細な部分もあるおばあちゃん。そのうち、話しかけてこなくなった。

そしていつの間にか、私が好きな食べ物を共有スペースに置いてくれるようになった。成長期の、食欲が止まらない年頃だった私。反抗したい気持ちはありながらも、おばあちゃんが買ってきてくれたものを食べるようになった。

徐々に私も、「おばあちゃんと話したいけど、今更話せない。」という気持ちになっていった。そこで区切りとして、「大学に合格したら話そう。」と考えた。おばあちゃんは誰よりも、受験を応援してくれていたのだ。

しかしおばあちゃんは、私が受験をする年に天国に行ってしまった。おばあちゃんにありがとうの感謝の気持ちを伝えられなかったことは、ずっとずっと後悔している。

私はおばあちゃんの不器用な優しさによって、無事思春期を乗り越えられたと思っている。
おばあちゃんが居てくれて、本当によかった。
私が天国に行った時は、まずおばあちゃんに謝ろうと思っている。
サービス職業従事者
投稿時の年齢:25
東京
投稿日時:
2022年09月26日
ドラマの時期:
2011年
--月
--日
文字数:1062

筆者紹介

東京都在住の25歳女性です。教育熱心な親の下で育ちました。上へ上へという思考で高校・大学と進み社会に出ましたが、体を壊したことをきっかけに自分の価値観を見直すようになりました。今では「無理をしない・楽しく生きる」をモットーに、カフェでのんびり働いています。
趣味は愛犬の世話・サイクリングです。