熱いうちに打たれたもの
高校を卒業して建設会社に就職した。
一般事務が希望だったので総務部に配属となった。
こだわって選んだ仕事ではなかったこともあり、やたらと部署異動させられた。
建設現場、営業部など。
若いうちにいろいろな経験をさせたい、という上司の意向だった。
どんな理由があろうと、希望する部署ではないことに自分は不満を感じていた。当時の自分は若かったこともあり、
「絶対間違いありません」
「絶対間違いなくやりました」
ということをよく言っていた。
そんな自分に、父親と同じくらいの年齢の上司は言った。
「お前は絶対なのか?」
なにを言っているのか当時は、まったく意味が分からなかった。
自分がトゲのあるような発言をすると、上司に強く注意された。
注意されるたびに自分は表情に出して、不快感を示していた。
おばさんの事務員から「もう少し我慢しないと!」と言われるほどだった。
入社から3年経った頃、自分はその建設会社を辞めることになった。
退職の意思を伝えたとき、驚きよりもショックのほうが大きい上司の表情は、いまだに忘れられない。